Tour de Molvccas 2.2 2nd stage

9/19 Tour de Molvccas 第2ステージ 156km(70km)

4:30に起床、朝食をとる。
もちろん、チームで用意してもらった安全な食事。
山を越えての移動のため、予定では5:30出発、4時間移動。


今日も時間通りにバスがホテル前で待機していた。
しかし、朝食をとっていないチームの為に、朝食会場へと向かう。


会場ではコーヒーだけ飲むが、機械が故障していて、直に汲み取る。


地面に置かれる食器たち。


それを濡れた布で拭くマダム。


コーヒーをジューサーに移し替えるマダム、マドモワゼル。見なきゃ良かった。


コーヒーは熱々だったので大丈夫だとは思うが、なおさら食べ物に手を出すわけにはいくまい。


カットフルーツも、いつ処理されたものか分からないし、カットしたナイフが汚染されていた場合もある。


バナナは安全だが、このようにカットされていたら危険だ。

会場にトイレはひとつだけ。男女構わず並んでいる。
自分の前には気品漂うマダムが並んでいて、会釈も程々に別段何という訳ではなかった。
しかし、彼女がトイレに入るなり、おっさんがするように「かーッ、ぺっ」と痰を吐く呻き声が轟いてきたのには、面食らってしまった。しかも、かなり絡み込んでいるらしく苦戦している。
トイレから出てきて、どういう顔をしたら良いのか分からず、下を向いていたら一言、「This is the toilet.」と言い残して去っていった。

俺は不思議の国にでも迷い込んでしまったのか。朝も早いので、そんな夢現な心地でトイレに入る。しかし、直ちに現実へと引き戻された。
もちろん、手動水洗トイレ。その水桶に並べられている歯ブラシ。
あくまで想像であるが、ここで歯を磨いていらっしゃる方々がいらっしゃるらしい。手桶で汲んだ水桶の水で口をゆすいで。
そして便器を覗き込むと、大量のトイレットペーパーの山が形成されている。その隙間から...モノがこちらの様子を窺っているではないか。
ここ最近で一番ショックな出来事である。
ばしゃばしゃと水を汲み取る音はしていたが、しっかりと責任を果たしてもらいたいものだ。

インドネシアではあらゆる場面で衛生観念のズレによる、衛生的カルチャーショックに悩まされることであろう。
かの有名なバリ島は行ったことはないのだが、あそこはキレイなのであろうか。

朝からアジアツアー全開だが、長い長い1日の、ほんの始まりに過ぎなかった。

6:30くらいに朝食会場を出発。
1時間程で山道に入り、山の峠を越えていく。日本の峠道とは訳が違う。
まるで映画のセットのような鬱蒼とした密林、本物のジャングルである。
山肌にただ車の通れる道を開いただけの峠道を、上下左右に揺られながら走ってゆく。
整備はちゃんとされておらず、至る箇所で道が崩れている。もちろんガードレールはない。

自分達の乗っているバスが、どうやら一番非力なエンジンを積んでいるようで、次から次へと後続車に抜かれていき、遂に最後尾の車にまで抜かされてしまった。
トルクレスなエンジンで、1速固定のレブリミットで回し続け、急峻で曲がりくねった道、というか壁を登っていく。


山道に入って1時間程経ったであろうか、リッチーがトイレ休憩をしたいと訴え出る。
路肩にバスを停めると、運転手がエンジンを切ってしまった。
どうしたものかと尋ねれば、しばらく前からブレーキが効かなくなっていたという。確かに焼け付く匂いが車内に立ち込めていたが、なんとも恐ろしい。


ドライバーが水をかけて、ブレーキを冷ましている。
リッチーが尿意を催していなかったら今頃、みんなで仲良く谷底でくたばっていたに違いない。というか、早く止まればよかったではないか。
島を南北に突き抜ける道はそうないので、意外と車の往来がある。道行く人々、パトロール中の警官までもが心配していくが、何もできることがないと走り去ってゆく。


リッチーはさっさと昼寝を始め、ジャイは飯を食べ始めた。


遂にはジャイも寝だす。
南野さんは座席で出発時から気絶している。

その場で2時間くらい何もすることがなく、ブレーキが冷めて10:30に再出発。
道のり的には半分くらいは来ているようだが、どうなることやら。


走り出してすぐ、この道路沿いで唯一と思しき山村でバスが止まる。
今度は何だと聞けば、給油をするという。セルフで。


トランクから燃料の入ったタンクを取り出し、ホースで入れるらしい。タンクを高い位置に置き、燃料をホースの中程まで口で吸って入れるらしいが、ホースが短くて入れられない。


すると、ポリタンクから直接給油を始め出した。
足元にビチャビチャとこぼしながら、5番のおっちゃんはタバコをくゆらせている。
写真は身の安全を確保して、精一杯近づいて撮ったもの。

また走り出して1時間経った頃にgoogle mapを開くと、最初に停まった所から直線距離で5kmも移動していないことを確認。
下手したら日が暮れる前にスタート地点まで辿り着けないのではないだろうか。


エアコンはつけられないと、車内で汗だくになりながら、今度は激坂の手前で停車。


今度はエンジンがオーバーヒートしたという。


熱帯雨林ど真ん中。
エンジンの煙が収まると、いろいろな鳥の鳴き声がこだまし、色とりどりの蝶が舞っている。澄んだ森の香りをたっぷり含んだ空気を胸一杯に吸うと、心身ともに軽くなってスッキリした。
まぁ人生、こんな事がなけりゃ、こんな所に来れまいて。


今回のストップでは、自然に詳しい関係者がガイドを務める、自然観察会が自然発生していた。


インドネシア語で、全く分からなかったけど。

さらに2時間半、ぎりぎり何とか電波の入る所まで進み、監督から電話が入る。
なんでも、自分達のバス以外は全員スタート地点に到着しているが、山岳ジャージ(リッチー)とポイントジャージ(トマ)がいないことに、やっとコミッセール達が気付いてパニックになっているらしい。


やっとこさ、14:30にスタート地点に到着。
予定では12:00レーススタート。


コミッセール、監督、選手間で話し合いが行われた。
st.georgeの監督は待ちくたびれたのか、コーヒーが5杯目に突入している。

始めはコミッセールプレジデントが「これ、走れるっしょ。晴れてるし、ハッピーだ」と予定通りにレースを行おうとする暴挙に出かかる。
すでに15:00にもなろうとして薄暗くなっている中、さすがに全行程は不可能ということで、70km地点の補給所ゴールと相成った。
また、選手間で「ノーアタック」の協定が結ばれ、ゴール前勝負だけで争うことに。


スタートが切られるが、リーダーチームがペースを作り、ほぼニュートラル状態でレースが進む。

しかし、24km地点のスプリントポイントで事件が起こる。
スプリント争いで抜け出した数名がそのまま先行していく。もちろん、ルール上は問題ないのだが、まさかの事態に集団は蜂の巣を叩いたような慌ただしさになってしまう。

後ろでのんびり脚を回していたので、突然の事態に急いで前へ上がり、先頭を追う。
リーダーチームは昨日、1人リタイアしたので数が足りない状況。

何とか振り出しに戻して、キナンもペースコントロールに加わる。
大雨に降られながら平和にレースを進め、最後は安全な位置でゴール。


急遽決まったゴール地点周辺。何もない。
ゴールしてすぐ民家の軒下に駆け込み、着替えを済ませる。


バスに乗って出発、と思いきや、燃料を買うとかでストップ。


こころの底からやれやれと思った。
もちろん当初のゴール地点は80km先にあって、ホテルはそこからさらに移動しなければならない。


バスに揺られて、2時間。19:45。
レースが強行されていればゴールするであろう時間だが、すでに真っ暗。
それでもレース短縮を知らない観客が盛り上がっている。

ところが今度は、「このバスはお前らのホテルには行かない。お前らのバスがどれかは知らん」と、放っぽり出されてしまった。
夕食会場があるが、もちろん口にはできない。
行くあてもなく、立ち尽くすのみ。
セルフィニスト達が集まってくる。

見かねて救いの手を差し伸べてくれたガイドのお陰で、何とかホテルに直行。
もちろん、手動水洗トイレ付きユニットシャワーの冷水を浴びる。


部屋には、インドネシアのミノムシが大量発生していた。
21時にバッグと自転車が到着して、洗濯やら明日の準備やら。
23時就寝。

はて、今朝の事がいつの事であったか。


明日の予定

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