AACA 第4戦


4/21、AACA 第4戦が、国営木曽三川公園 長良川サービスセンターの5kmコースにて開催された。
今回、自分はレースをちょっとお休み。
夏日になったこの日のレース内容は、みんなのレースレポートで。


各カテゴリー¥2000、TT¥3000で参加できる
計測チップを用いないので、当日エントリーもできる(¥3000)。
いずれの場合も、ご自身で”安全ピン”のご用意を。
さながら、仏アマレースだ。


キナンサイクリングチームを始めとして、様々なチーム・選手が参戦するので、なかなか難しいレースになっている。


パンクしてもニュートラルを受けられるので、しっかり最後まで走りきれる。
オフィシャルのホイールは無かったりするので、自前で予備輪が用意できれば安心。


我々も真剣に勝ちを狙いにいくレース。
展開系のレースになるので、脚だけでなく知略・作戦も必要。
”誰にでも”勝つチャンスが大きくあるレースだ。


キナンサイクリングチームが送る、”スキルアップ講座”も行われている。
今回はズバリ、”レースのためのローテーション”。


レースの必須技術、しかしなかなか練習できないローテーション。
最初はぎこちなかったローテーションも、みなさんたった30分で綺麗に回れるようになって頂いた。

キナン選手が参加者の方々に、レースを楽しく安全に、勝てるようになる!ようなアドバイスやスキルなどをお伝えしている。
レースの合間で30分ほどしか実施できないのだが、参加料などはないので、ぜひ参加していただきたい。


株式会社 隼 様のATHLETUNEは、身体の内側からコンディションをサポート。
日頃からキナンサイクリングチームをサポートして頂いているスポンサー各社さまの、ブースの出展も。
キナンが使っているエキップメントを、手に取って見ることができる。


BUCYO COFFEE 様には、毎回出店して頂いている。
コーヒーはもちろん、昼食やプロテインまでも摂ることができる。
最寄りのコンビニや飲食店は少し離れているので、非常にありがたい。


動画配信サイト”FRESH!”にて、中継とアーカイブを見ることができる。
レース会場に足を運んでも、常にレース展開を見ながら観戦できる。


さて、いつもキナンサイクリングチームのレポートを書いてくださるサイクルジャムさんから、突如こんな質問が...

「レースで逃げに乗れず、力を出しきれず、悶々としながらレースが終わってしまった、という選手がいたんです。1-2では勝てなくても出し切れたので満足できたらしいのですが、この気持ち、どうしたらいいですか!?」、と。

どうしたらいいか、と聞かれてもその方と直接お話しできてないので、どうしたら良いと思いますとも応えられず...
しかし、サイジャムさんの話の端々から察するに、その方はロードレース上級者への道を確実に歩んでいると見て間違いないだろう。

「出し切れずに悶々とした」
おそらく、今回のAACAで感じられたことは......”1-2でレースに慣れてきた。いよいよ、めちゃ速いレースで苦しみ、プロ選手に引きずられて、完走さえできるかどうかを試される覚悟で挑む、初めての1-1。いざ走ってみたら...1-2の方が速くてキツイ?プロ選手にもついていける?延々とアタック合戦?人の後ろについてくるだけの集団?...なんだか拍子抜けして面白くなかったし、疲れるだけで楽しくなかった...”
こういう感じでレースを終えてしまったのではないだろうか。(違っていたら、恥ずかしい)

この経験は自分にもよくあるし、少なからず一回は通る道ではなかろうか。
ロードレースを走ってきて、レースに慣れてきた頃に感じるこの悩み。
せっかく走れる様になってきたのに、ここでレースを止めてしまってはもったいない...

すでにこの方には1-1で入賞、あるいは優勝できる脚があるだろう。
この壁を乗り越えるためには、もう少し”力の使い方”が分かってしまえば、上級者真っしぐらに違いない。
...ここでは、”私が上級者であるかどうか”、という議論は置いておく。

レース全体のペースに関しては1-2の方が速いのではないだろうか?
集団前方ではずっとローテーションが回っていて、ペースが落ちないのだ。
ただ、たまに1-2の後ろに混ざっていたりすると、悪意などは全くないので怒らないでほしいのだが、正直「何がしたいんだろうか...?」と思う動きが多い。

誰かが、「ロードレースは、マラソンとチェスと株取引を混ぜたような競技だ」とか、何とか言っていた気がする。
ロードレースほど空気抵抗のないマラソンならば、自分の出し切るペースで走れば、ほぼ脚力順に順位へ反映されるだろう。
チェスなら、相手よりもより優位に、より多くの手を残せるように展開しなければならない。
株取引は、手持ちの資金でどこまで投資できるか、見返りを求めるか、お金の使い所を見極めなければならないだろう。

例えば、ウサイン・ボルトを11人集めて、サッカーのジャマイカナショナルチームを組んだとする。
果たして、いきなりW杯を勝つことはできるだろうか?
ガリレオ・ガリレイを10人集めて、箱根駅伝に参加してもらうとしたら?
復路をトップで帰ってこれるだろうか。

もし、自転車で純粋な体力勝負をしたいならば、タイムトライアルを試してみたい。
自分の鍛えた脚で、最適なペースやフォームで、自分との限界に挑む。
脚力はそのまま順位に反映されて、優勝すれば間違いなく「俺が一番速いんだ」と名乗れるだろう。
タイムトライアルが得意な選手は、集中して前だけをみることが得意なタイプが多い。自分もそのタイプ。
ただ、チェスをしながらスプリントをするのが苦手、という傾向が強かったりする。
苦手というか、やり方が分からないのだろう。

よく聞こえてくるのが、「今日は平均◯◯◯wで速かった〜」「最後、◯km/hで抜け出した!」「あそこでは◯番手だった」「今日、一番長く牽いていた」...等々。
もし、トレーニングとして出走しているのならば、非常に有効なデータ・反省材料となるだろう。

だけど、そこじゃない。
それらはあくまで手段・過程にしか過ぎず、最重要課題じゃない。
どの位置で走って、いかにして脚を残して最後の勝負所へ残り、ゴールラインへ何番目に飛び込むか、というのがロードレースの最大の課題であり目標なのだ。

CPを更新するような強度に追い込まれても、ついていかなければならない場面ではついていかなければならない。
雰囲気に飲まれてローテーションを回って、それで脱落しては意味がない。
ゴール前100mで1位でも、ゴールラインで1位じゃなきゃ誰も見てない。

たぶん日本人の気質的に、集団内で”みんなで一緒に苦しみましょう”という空気を感じてしまうのかもしれない。
しかし、手段・過程が目的になってしまっては、練習では必要だが、勝てるレースも勝てなくなってしまう。
脚力の差がある中でも、相手を打ち負かさなければ勝つことはできない。
力自慢コンテストではなく、着順を決める”真剣勝負”なのであるから。

特に、コースのキツさがない長良川では、脚50%:頭50%の能力が必要だろう。
よく感じるのは、キナンの選手と1-1に参加されてる方々の間には、そこまで大きな脚力差はないと思っていること。問題は脚の使い所と使い方。
ゴールスプリント、アタックで抜け出す、逃げでローテーション、集団前に位置取りする、集団内で脚を回してるだけでも脚というのは使っている。
自分の脚を、どのタイミングでどこまで使うのか、しっかり考えながら走らなければならない。
もがける時間や回数は、選手としてフルタイム練習をしている我々が多いかもしれないが、脚力の絶対値はそこまで変わらない。
...全盛期のF・カンチェラーラ氏などがAACAに出走すれば、スタートアタックでそのまま逃げ切ることができるだろうが。

悩む、というのは大事だ。新しい自分に生まれ変わるチャンスだから。
レースに出たら、必ずレースを振り返ること。
どんなに小さいことでも、良かったこと悪かったこと、出来たこと出来なかったことを、しっかり見つめ直す。
分からなかったら、チームメイトやレース仲間、キナンの選手に聞いてみても良い。
それを繰り返していくと、レース中でも「この時はどう動いたらいいか」という”気づき”が生まれてくるようになってくる。
すると、どんどん芋づる式に反省点や改善点に”気づいて”、レースが見えてくるようになる。
「なぜ、アタックしなければならないのか」「なぜ、抜け出せないのか」「なぜ、逃げは捕まったのか」「なぜ、勝負所に入れなかったのか」「なぜ、最後に脚が売り切れてしまったのか」「なぜ、勝てなかったのか」

そういう良い循環ができてくれば、ヤマを張るなんてことせずに、レースの展開を見ながら力の使い所というのが分かってきて、たくさん勝負できるようになってくるだろう。
せっかくお金を払ってエントリー、交通費や宿泊費もかかり、機材の破損や怪我のリスクを負うのに、一か八かの賭けで勝負を放棄してしまっては、せっかくの機会がもったいない。
自分のことなんて自分にしか分からないから、どう動くのがベストか、なんて答えは自分の中にしかない。

ワールドツアーの中継とかを見るのも好きで、よく見たりして興奮してたりする。
ワールドツアーレースというのは、見ていて勉強になることも多い。
けど、画面を通して見えてくるのは、やはり表面的なことしか見えないのだ。
周りはキツそうなのか、どのくらい速く感じているのか、集団内はナーバスでフラストレーションが溜まってるのか、風がキツイのか、観客の盛り上がり...最後の駆け引きの空気なんて、テレビ画面を通してでは1%も伝わってないだろう。

パワーメーターもだいぶ普及してきて、一人でも脚を鍛えるということは簡単になってきた。
でもレースでの動きというのは、レース勘っていう言葉もあるし、やはりレースでしか分からない。
天性のセンスで天才的な動きをする選手もいれば、自分みたいにゴチャゴチャ理屈で考えようとするタイプもいる。
ただ自分もレース中には、「この動きだから、こう動いて、こういう展開にしたい」とか、いちいち考えてなんかはいない。ほぼ直感。
一瞬の判断の遅れが致命傷になったりもするから。
しかし、レース後に振り返った時に、レースの動きと一瞬で考えたこと、なぜその動きをしたか、しっかり言葉で説明できるような回路ができているようにしたい。

自分もかつて「練習番長」と呼ばれて、レース中は頭に血が上り、オラオラ行って惨敗の連続だった。
今まで先輩達から「なんでこう動いた」「何がしたかったんだ」と怒られてきたから、レース中も冷静になって、後からちゃんと説明できるようにして怒られないようにしたかった。
そこら辺の頭の使い方はやはり、レースで何回も失敗して、反省して、その壁を打ち破れるように、たくさんレースを走らないといけない。

ベースとなる展開の形はあれど、絶対こういう展開になる、というのは誰にも分からない。
だから見てる側は、どういう展開になるだろうか、誰が勝つんだろうか、と目が離せない。
走る側も、最後までうまく駒を進められるかドキドキするし、TTでは敵わないような格上の選手達にも勝てるチャンスあったりする訳だ。

タイムトライアルは、いかに準備して、いかに追い込んできたか。
9割方、スタートラインに並んだ時点で順位は決まっている。
基本的にミラクルは起きないし、自分と向き合って集中して自信を持って全力で走りきれるのが、すごく楽しい。
出し切って、そのまま順位に反映されるから負ければ悔しいけども、そこにはある種の達成感があるはずだ。


ロードレースは、うまく行かないことの方が多い。
うまく行かないというのは、レースによってマチマチだけれども、100、200人走って、その中の一番になれというのは、なかなか酷な話だ。
なので、いつもレース前は「うまくレースを運べるか、どうか」という、展開についての不安が大きい。

脚で力負けするのは、物理的にしようがない。
ただ、そんな強大なライバルがいた場合にも、我々が取り得る手段で最後まで諦めず、「ミス」せず”最後に全力で立ち向かえることができる”か、そういうレース運びができなければいけないのだ。

今年の春のクラシックも、いろいろなドラマがあった。
絶対本命といわれる選手が動けずに勝負すらできなかったり、ダークホースにすら名前が上がらない選手が勝ったり...

脚があるだけじゃ勝てない、どんなレースにもドラマがあって、けっきょく最後まで誰が勝つか分からない。
それで悩んだり、ツマらないこともあるけど、でもやっぱり、そこがロードレースの面白いところでもあるのだ。
変なテレビゲームよりも、よっぽどリアルでドキドキするゲームだ。

もちろん勝ち負けだけじゃなく、途中の人間模様や駆け引き、贔屓の選手を応援して観戦したり、などなど...楽しみ方は百人百様。

今回のAACAだって、誰もが3人の逃げ切りだと思っただろう。
しかし、マトリックス勢が最後まで諦めずに、残された手段を信じて全力でレースを運んでくれたから、見ていてもあんな面白いレースになったのだ。

つまり、その悶々とした感情は、大事になすって下さい。
また言いたいことが分からなくなってきたので、ここで終わる。
余計に混乱されていないことを、心から願っている。

なお、まとめるつもりはサラサラ無い。

ちょっと、レースを走りたくなってきた?試したいことができた?
...けど、レースがない?

AACA CUPは毎月1回開催され、複数カテゴリー走ることもできる。
長良川などは、展開の動きを学べる場として、最適なコースだ!
次回は5/5 第5戦 長良川特設コース

ちなみに、KINAN AACA CUPのホームページは、加藤GMの手作り(手打ち?)である。

コメント

  1. レースの中継聞いてましたよ!!
    レースの中継をされてる椿選手も新鮮ですいいですが、レースで走る姿も楽しみにしてます(*´∪`*)

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    1. ありがとうございます。

      次回はしっかり走れるようにします。
      ぜひ会場での観戦、お待ちしております。

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